Bizhacker ~起業家を目指すビジネスメディア~

勇気がないから、起業しないんじゃない。と言い訳させてくれ。

ツールを使うだけでは無能。キラーコンテンツを持たせろ!

ネット創世記において、
唯一のリテンションツールだったメルマガ。


近年では、スマホの普及が進み
Facebook, twitter, Instagramを始めとしたSNS
アプリのプッシュ通知
と様々なリテンションツールが誕生。


そんな中で
迷惑メールなどの大量のメールに埋まってしまう
メルマガのプロモーションの効力は
以前ほどのインパクトを持っていなくなりつつあります。


今回は
元ネットショップコンサルティングとして、
ニューヨークタイムズとメルマガ」というキーワードから
ツールとしてのメルマガとその先にあるものを読み解きます。

プッシュ通知の台頭

プッシュ通知とメルマガの開封率の相対感。

メルマガ開封率:10%
プッシュ通知開封率:30%
※参考:機能|アプリ開発、制作のASPサービス - Yappli(https://yapp.li/function.html

実際、僕自身、ネットショップコンサルをやってたときの数字でも
メルマガの平均開封率 約10〜15%
メルマガの開封率がいいとこでも 約20〜25%
といったとこでした。

5年ほど前を遡れば
メルマガ平均開封率は30%ほどあり、
メルマガによりリテンションが弱まってるのは
明らかに思えます。

ちなみに最近では、
Web Push
という最新バージョンのChromeにおいても
ブラウザのプッシュ通知の機能もあります。


メルマガ平均開封率50%NYタイムズ起死回生の一手!

デジタル化が進む中で、
紙媒体の購読者の減少に苦しむ
ニューヨークタイムズ
打ち手として、「メルマガ」を選択。

今では
平均開封率は50%と強力な武器へ。

なぜ、メルマガで成功したのか?

成功要因は、
本誌の記事の転載ではなく、
メルマガ独自コンテンツの執筆を行った為。

多く紙媒体を本業とするメディアは
メルマガに限らず、
ネット版のデジタル化や
SNSのフィードにニュース配信する際、
既存の記事を転用します。

ただ、NYタイムズ
専門のライターを起用し、
メルマガ独自コンテンツの拡充に注力。

結果として、
現在では33ジャンルに及ぶ、
リッチなコンテンツの集まる場を形成することになりました。

NYタイムズキラーコンテンツ

重要なのは
「記事転載の効率性より、コンテンツのクオリティをとったということ。」

ここが、
「メルマガ独自コンテンツ」という
キラーコンテンツを生むことにつながっています。


一見すると、
衰退傾向にあるメルマガだが、
メルマガでしか読めない良質な記事を書くことが、
他者にない競争優位であり、
購読者を惹きつけるキラーコンテンツなのです。


競争優位をいかに築くか

競争優位をいかに築くかということで
参考になるのが
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
という本の中で語られている
「クリティカルコア」です。

クリティカルコアとは?

同書によれば、
クリティカルコアとは
「戦略ストーリーの一貫性の基盤となり、持続的な競争優位の源泉となる中核的な構成要素」
と定義付けられています。

よりわかりやすい説明としては、
業界人にとっては、
「一見して非合理に見える」が
コンセプトや様々な構成要素と一貫性を持って結びつくことで
「部分の非合理を全体の合理性に転化する」
ということです。


つまり、
非合理に見える=他者はやらない=競争優位
なのです。

NYタイムズの場合

クリティカルコア:「メルマガを主戦場にする」
コンセプト:「独自コンテンツの拡充」
構成要素:①専門編集者の用意
     ②専属の有名コラムニストの起用


「メルマガを主戦場にする」
という一見非合理な打ち手が
「独自コンテンツの拡充」というコンセプトと
それを実現する為の構成要素の
①専門編集者の用意、②専属の有名コラムニストの起用
と結び付き、合理化され、キラーコンテンツになっています。

後書き

今回は、「NYタイムズ・メルマガ」をキーワードに
競争優位の話まで繋がる難しいトピックになってしまいました。

もし、気になる方は
わかりずらいとこを質問いただけると幸いです。

最後にお伝えしたいのは、

便利になった現代では
多くのツールが存在しますが、
そのツール単体には
一定の価値しかなく、
そこにどんな付加価値を足すのか。
ということです。

例えば、
「広告」というツールを取り上げても
どんな商品を当てるか?
いくらで出すか?など
様々な要素と密接に関わってます。

残念ながら、広告の良し悪しはあっても
その広告でいくら売れるかは別の話です。

極論言えば、
それが分かれば、
同じ広告を使う企業で「差」は生まれないですからね。


ツールのその先にあるのは、
自分たちが競争優位を築く為に
どんな価値を持たせるのか
ということですね。

問題があるのはツールではなく、その使い方。